保護犬のしつけで大切なこと
一般的に、保護犬とは民間の保護団体や動物愛護センターや
保健所などの行政施設に保護されている犬すべてを指します。
保護される主な理由としては、飼い主からの虐待・飼育放棄、迷子、野良犬、
ブリーダーからの虐待・飼育放棄・多頭飼育崩壊などがあげられます。
年齢や犬種、保護された経緯はさまざまですが、
共通しているのは、保護犬達と私たち人間との生活が上手くいかなかった、
または人間との生活を経験したことがないため、
人間に心を閉ざしてしまった子達が残念ながらいまだに多くいることです。
今回はこれから保護犬を迎えようとしている方へ、
またはすでに保護犬を迎えた方へ、保護犬との生活、そして家庭でののしつけについて
書きたいと思います。
しつけを始める前に
保護犬の中には産まれてからずっと孤独な環境に置かれていた子たちも多くいます。
人間との触れ合いに慣れていなかったり、
人間に恐怖を感じる子達も多くいます。
しかし、「保護犬だからかわいそう」という気持ちは持たないでください。
これから何年もの間、その子とこれから長い時間を一緒に過ごすことが難しくなります。
保護犬の生い立ちや環境など先入観は持たずに、
まずはこれから家族の一員として一緒に暮らす自分を夢見てくだい。
そして、その子がどんな性格の子なのかをまずは理解するように心がけてください。
その子がどんな時に嬉しそうな表情をするのか、
どんな時に不安そうな顔をするのか、などその子の行動を観察してみましょう。
少しずつどんな子なのか感じることができると思います。
しつけとは
犬のしつけとは家族や他の犬達との間にある社会を学習させ、
家庭でのマナーを教えることであるとよく言われます。
しかし、「言うは易く行うは難し」とはこのことで、
しつけは何年もかかる犬達との共同作業なので、実践することは大変です。
また、保護犬の中には新しい環境に馴染めない子達が多いため、
いつも以上に人間の根気強さが試されるということです。
犬のしつけは人間の子供のしつけとよく似ていると私は考えています。
親が人間の子供の行動や言葉使いに常に意識を向けるように、
保護犬達のしつけも飼い主やその家族が向き合いながら、直接行っていく必要があります。
時にはドッグトレーナーにアドバイスをもらうこともあるかも知れませんが、
飼い主が毎日コツコツと犬達に教え、
もしも学習できていなかったらまた繰り返してやっていく必要があります。
第三者がたとえしつけをしたとしても、
飼い主の前では全く違った行動をすることは多々あるからです。
うちの場合は、犬達7頭が家の中で皆一緒に過ごしているため、
日々のしつけが必要です。
まずはトイレトレーニングから始まり、家具や壁をかじらない、
家の中で走りまわらない、などルールを教えることから始めます。
例えば、もしもフリーで家の中で過ごさせるのであれば、
トイレトレーニングは毎日5-10分おきに「トイレは?」と犬達に問いかけ、
トイレの体制になったらすぐにトイレに連れていきます。
このトレーニングを寝る時間以外、ずっと繰り返します。
失敗もたくさんありますが、犬達は時間をかけて少しずつ分かるようになります。
早い子で1週間、遅い子で半年ぐらいでほとんど失敗なく覚えられるようになります。
ペットショップにはいろいろなトイレのトレーニンググッズが販売されていますが、
うちでは毎日犬達との会話を通して教えるようにしていますので、
市販のグッズは使ったことがありません。
飼い主が犬達との会話を通して家庭でのマナーを教えるからこそ意味があり、
そこに信頼関係が生まれ、犬達も理解できるようになると私は感じています。
ほめることの大切さ
人間は犬のしつけの際に、昔は「だめ」「いけない」など叱る言葉のみを使って
犬達の行動を制限してしつけることが正しいとされていました。
体罰も認容していたこともあったようです。
近年では、日本や欧米でのしつけについての研究が進み、
ほめることを多くする方が犬の反応が良いという方向に変わってきています。
ほめてもらえることにより、犬がほめられることを予期し、
だんだんと良い行動の頻度が上がってくという研究結果も出ています。
もしも飼い主が教えた指示・行動について最初は理解出来なかったとしても、
決して罰は与えないでください。
逆に、罰という手段を使うことによって、
犬達の不適切な行動が増えていく傾向があるという調査も発表されています。
保護犬のしつけの難しさは、
保護犬達の学ぶきっかけをどのように飼い主が見つけてあげられるかだと私は感じています。
保護犬が今までおかれた環境や経緯を考えると、
状況を受け入れられない子達や人間を信頼できない子達が大半いることも
不思議ではありません。
今までしつけを学ぶことがなかった保護犬達を
どのようにやる気をださせるかは大きなチャレンジです。
ただ、私たちがやることの本質は変わらず、
まず声掛けをしながら、犬との会話をすることから全てが始まります。
そのなかで、出来るようになったこと発見し、
たくさんほめてあげながら保護犬達の自尊心を育てていくことが、
しつけのまず第一歩と考えています。
まとめ
最後になりますが、私は犬達の目をよく観察しています。
喜んでいるとき、怒っているとき、困っているとき、
お腹が空いたとき、すべて違う目をしています。
その目を見ながらいつも自分がその子達に対して一日どのように接したかがわかります。
皆さんも、ワンちゃん達の目をみて会話してあげてください。
きっと新しい発見があると思います。