レッドウィング08173、定番のスタイルに個性が光るラフアウトレザーモデル
●レッドウィング 08173はどんなモデルか
レッドウィングの歴史の中で、00854、
00877そして大定番の00854という進化を遂げてきた通称
「アイリッシュセッター」には実は様々なバリエーションモデルが存在します。
そのなかの一つが今回ご紹介するレッドウィング 08173です。
そんな08173を理解する上でまず知るべきは00854というベースモデルの事でしょう。
00854は、元々狩猟用として開発されたブーツで、
その他のワークブーツとは違う独特な仕様を持つモデルです。
ややゆったりとして疲れにくいつま先の製法がU字の縫い合わせとなる「モックトゥ」や、
狩猟の為の静粛性、ぬかるみでも滑りにくい、「トラクショントレッドソール」など
実用性から生まれた仕様と言えるでしょう。
しかし偶然にもその実用性から生まれた形状が
ファッションとしてのアイコンとして生きてくるのです。
「モックトゥ」はカジュアルな印象を生み、「トラクショントレッドソール」は
その白い外観から軽やかさを感じさせてくれます。
本格的なブーツながら高いデザイン性を兼ね備えていた訳です。
その00854はご先祖様の00854の時代からオレンジがかったブラウンの
レザーを使用していますが、1989年、日本企画としてベージュカラーの
「ラフアウトレザー」仕様の08173が誕生します。
この08173に採用された「ラフアウトレザー」とは、
一見するとスエードと混同されがちですが、革の裏側を表にするという点では同じですが、
繊維を短く切りそろえ均一に仕上げるスエードに対し、切りそろえはせず、
起毛させるのみの仕上げがラフアウトです。
上品なイメージのスエードに対し、
なんともブーツらしい良い意味で粗野な仕上げですね。
●個性的な「ラフアウトレザー」の特徴
多くのブーツが採用している革は、オイルをたっぷり含ませたレザーの艶のある面(銀面)を
表側として使うのが一般的ですね。
もちろん王道のカッコよさがあり、定番モデルはほとんどこの仕様でしょう。
それに対し今回のレッドウィング 08173に採用されている様な「ラフアウトレザー」は銀面を
内側にし、毛羽立ちのある裏面を表にするという手法です。
この「ラフアウトレザー」個性的な見た目に憧れ、これから買おうかと検討されている人や、
初めて手にした人は「デリケートな素材なのでは?」と身構えてしまう事もあるかと思います。
私も所有するまでは汚れやお手入れが心配で避けていました。
しかし現実には、そこまで大変でもありませんでした。
むしろ楽という意外な結果でした。
例えば、通常のワークブーツ等、いわゆるプレーントゥで銀面が表になっている物は、
「ワークブーツだから気にしない!」と言いつつもつま先の傷などが
気になってしまいますよね。
特にオイルメンテしてつま先をポリッシュした直後にぶつけようものなら目もあてられません。
しかし、ラフアウトレザーの場合、かなり強くぶつけても傷になることはほとんどありません。
また、汚れなどが少し気になる場合もブラッシングでほぼ落とせますし、
雨で完全に濡れても泥水で無ければ気になるほどのシミにはなりません。
私は敢えて防水スプレーなども全く使っていません。
毛足の短いスエードは防水スプレーとの相性も良いかと思いますが、
比べて毛足の長めのラフアウトレザーではあまり効果的ではありません。
そんなガシガシ使える「ラフアウトレザー」仕様のレッドウィング 08173
は意外にも硬派なんです。
●まとめ
「ラフアウトレザー」仕様のレッドウィング 08173ですが、
実は脱ぎ履きのしやすいモデルとしてもおすすめです。
こういった足首まですっぽりと覆うタイプのブーツが初めての方には
是非選んでいただきたい一足なんです。
この「ラフアウトレザー」は足を入れる内側も通常のブーツとは表裏逆になるので、
中側がツルっとした銀面になっていて、引っ掛かりが無いので非常に脱ぎ履きはスムーズです。
また、6インチ丈という絶妙な丈も、ロング丈のブーツに比べてシューレースを緩める際にも
スピーディーに出来ます。
居酒屋など欧米に比べどうしても脱ぎ履きの多い日本、
スニーカーなどに比べれば手間は多いですが、そんなシーンでもなるべくスマートに
素早く脱ぎ履き出来るという事もこのレッドウィング08173の魅力の一つと言えるでしょう。