【読書家の豆知識】芥川賞の審査員は誰?選考方法は?
今年の第170回芥川賞の受賞者発表が1月にありました。
最近は芸人の方や、アイドルなどテレビ業界で活躍する著名人も受賞され、
たびたび話題となっていますね。
芥川賞の名はメディアでもよく耳にすると思いますが、
そもそも芥川賞とはどんな賞なのか皆さんご存知でしょうか。
審査員は現在9名で行っているようです。
本記事では、芥川賞の受賞作品や受賞者だけでなく、
芥川賞とはどんな賞なのか、いったい誰が審査員をしているのか、
など皆さんが気になる内容について徹底的に解説いたします。
Contents
●芥川賞ってなに?
文芸春秋の創業者、菊池寛が友人だった芥川龍之介の名を取って
1935年(昭和10年)に芥川賞を作りました。
現在の主催は日本文学振興会ですが、運営は文芸春秋です。
芥川賞は選考委員の会合によって受賞作品が決定されます。
ここでノミネート候補作品としてあがる作品もとても話題になりますよね。
読んだ本が候補としてあがると、とても嬉しい気持ちになり
全力で応援したくなります。
毎年、若手作家や無名作家の方が受賞をしていて、
作品はどれも素晴らしい作品です。
まだ手に取ったことのない方は、本を手に取る前に芥川賞について
知識を入れて読むと奥深さが増すこと間違いなしです。
●芥川賞はいつ発表されるの?
芥川賞の発表は年に2回、1月と7月に発表されます。
以外に知っている人も少なく、
えっ!?と思った方も多いのではないでしょうか。
なぜ2回もあるのかというと、
芥川賞創設の目的にある「本の売り上げ向上をはかるため」
というものが大きな理由です。
昔から2月と8月は「消費が落ち込む月」と言われています。
なぜ落ち込むのかはっきり理由はわかっていませんが
想像するとなんとなくわかりますよね。
寒さの厳しい2月、真夏日が続く8月、どちらも外に出るというより
家に籠るイメージがあります。
昔はネットもなく本屋に出向いて購入するのが当たり前だった時代。
気候はかなり影響していたかもしれません。
その落ち込む月を乗り越えるべく、売り上げを上げるための芥川賞を
1月、7月に発表するというのは理にかなっていますね。
●審査員は誰がしているの?
現在の選考委員は2020年上半期から以下の方が審査員をしています。
小川洋子、奥泉光、川上弘美、島田雅彦、平野啓一郎、堀江敏幸、松浦寿輝、
山田詠美、吉田修一の9名です。
2020年からということは、審査員はあまり変更しないようです。
任期は決まりがなく、山田詠美さんは2003年から審査員を
務めていらっしゃるようです。
20年以上も審査をされているということは熟練されて目利きがあるのでしょう。
一方で、変更をしないことによる受賞作品の偏りや、
公平という観点で見ると、どうなのかと思うところもあります。
やはり公平さを考慮すると審査員の任期を決め、
さまざまな方が吟味するほうが良いのでないかと思っています。
審査員の方たちはもちろん作家で、
過去に芥川賞を受賞した方が9名中7名います。
審査員は過去に芥川賞を受賞した作家から多く選出される傾向にあるようです。
●芥川賞の選考方法は?
芥川賞の選考基準として3つのポイントがあります。
1つ目に新人か無名か、
2つ目に純文学であるか、
3つ目に作品の長さ
が、選考の基準です。
順を追って説明します。
●芥川賞は新人や若手作家にも脚光を浴びせることを目的としている
そのため新人か無名かどうかはポイントになります。
芸人の又吉さんも受賞されましたが確かに、
作家として無名な方でしたよね。
著名人が受賞すると話題性やメディアの注目も増えます。
読書好きな人だけに限らず、
興味のない人も読書に関心を寄せることができますね。
●純文学とは何か?
純文学とは「主に文章の美しさや表現方法の多彩さに重きをおいた小説」であり、
作家の思想が現れていて、作者の独自の文体を活かし芸術性のある作品を示します。
この純文学の線引きは曖昧です。
まれに純文学とは断言しにくいような作品も受賞されてあり、
文学を評価することならではの難しいところといえるでしょう。
●作品の長さとは?
芥川賞は短編と中編作品に与えられる賞です。
しかしこちらも明確に短編、中編の境界線がなく曖昧な部分であるようです。
文字数に決まりがないので、基準から外れた受賞作品もあるようです。
この3つのポイントを見てみると意外にも明確な決まりはなく、
曖昧な部分が多くありました。
正直、名高き歴史ある賞の基準がこんなにも曖昧だったのかと驚きました。
文学という正解のないものを評価する難しさとも考えられますね。
選考基準がはっきりと決められていないからこそ、
さまざまな作品を隔たりなく評価することができているのかもしれませんね。
●芥川賞受賞で何かもらえるの?
芥川賞受賞者した作家には正賞に懐中時計、副賞に
賞金100万円が贈られます。
なぜ正賞に懐中時計なのでしょうか。
それは当時、生活に苦しむ作家が多くいたためです。
懐中時計は当時とても高価なものであったため、
困ったときにお金に換えられるような配慮があったようです。
そして受賞者の作品は文藝春秋に掲載されます。
受賞作品として注目を集めることはこの上ない贈り物ですね。
現代は懐中時計に価値はそれほどないような気がします。
正直、副賞のほうが嬉しいと思ってしまいます。
懐中時計には受賞者の名前が彫られるようです。
きっと受賞者にとっては芥川賞を取ったという誇りや
記念として懐中時計は何よりも宝物でしょうね。
●まとめ
芥川賞の疑問は解決したでしょうか。
意外に知られていないこともあったと思います。
芥川賞がどんなものなのか、どのように選考されているのか、
審査員はどんな作家が行っているのかを知ると受賞作品の読み方も変わりますね。
芥川賞受賞作品は決して難しいレベルの高い本ではありません。
どれもたくさんの作品の中から選び抜かれた、
言葉の美しさや筆者の思いが感じられる芸術性に溢れた作品です。
まだ本を手にしたことがない方も
一度素晴らしい作品に触れてみてはいかがでしょうか。