B級映画 本当の意味・なぜSF映画に多いのかなどについて解説

現在では日常的によく使われる、B級映画。
この単語の意味、皆さんは改めてご存じでしょうか。

実はこの単語、よくわからないまま使用している方が多くいます。

いわゆる「この作品はA級だけど、これはB級」といったような用法で
使う人もいます。

しかしながら、実はこのB級映画という言葉について
正しい意味を皆さんにご紹介したいと思います。

また、今回はB級映画になぜSF映画が多いのかといった理由といった事や
どういった作品がB級映画に該当するのか、

またB級映画を取り巻く歴史の変化についてもご紹介します。

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B級映画の本当の意味!実は出来の低い映画を指す言葉ではない

では、皆さん果たしてB級映画とは一体なんなのか
お分かりいただいておりますでしょうか。

B級映画というのは、1930年代~1950年代にかけて、ハリウッドにおいては、
いわゆるスターが出演する多額の予算が投じられた映画をA級と称していました。

そして、若手の俳優や脇役などを中心にして活動する俳優が出演する低予算の
映画
をB級と称していたのです。

かつて、ハリウッドではプログラムピクチャーといわれる同時上映のスタイルを
多くの作品で取り入れていました。

つまり、この大作映画=A級映画の添え物として作られていたのが
B級映画だったのです。

その後、1950年代以降ハリウッドではプログラムピクチャーの文化そのものは
死滅しましたが、低予算で制作されたジャンル映画を「B級映画」として
称するようになっていきました。

では、現在の日本において、よく使用される「B級映画」の定義は、
「この映画の出来はB級」といったような形でいわゆる
「出来の良くない映画」の総称として使用されます。

しかし、これらは正しい意味で使用しているわけではないということを
付け加えておかなければなりません。

さらにZ級といったB級より低い出来の映画を称することもありますが、
これは最初から存在しない造語でしかありません。

こういった言語を「わかっている人」同士で使用するのは問題ありませんが、
こういった映画の歴史に詳しいうるさい人の前で使用するとトラブルになるので、

「出来の低い映画=B級」というのはやめておきましょう。

B級SF映画の例は何か、実はあの映画も元々はB級映画

では、どういった作品がB級SF映画とされるのでしょうか。

この典型的な作品とされるのは、なんと「マッドマックス」や
ターミネーター」といった現在のハリウッド映画における
メインストリームである作品です!

実は現在、ハリウッドのメインストリームで制作されている作品の多くが、
元々は低予算SF映画として制作されていました。

1978年に公開された、「マッドマックス」の制作費は、
350オーストラリアドルほどであったといわれています。

これは当時のレートでいうと、2200万円ほどの金額であったといわれています。

この金額は当時でも低予算映画として位置づけられていましたが、
最終的に世界中で9000万ドル以上を稼ぐことに成功しました。

また、「ターミネーター」の場合は、製作費は、640万ドルで、
これは当時の日本円のレートでいうと、10億円ほどですが、

これでもハリウッド映画では低予算の映画であり、
だれもがコケると思っていましたが、想定以上のヒットを記録しました。

さらに「スターウォーズ」も実は低予算映画であり、
当初はヒットするとは多くの関係者を見越していなかったともいわれています。

また、B級映画といえば忘れられてはいけないのが、
ハリウッドの大プロデューサーのロジャー・コーマンです。

ロジャー・コーマンは、現在ハリウッドで活躍する
ジェームズ・キャメロンの師匠でもあり、
数多くのB級SF映画を製作していました。

そもそもの自伝のタイトルが
「私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか」
というもの。

いかにドケチなのかわかりますね。

コーマンは低予算で作った映画を、1週間あるいは三日間ほど
といった短期間で撮影する映画を量産した文字通り
低予算映画業界の帝王」でもありました。

このコーマンは手掛けた映画は
「金星人地球を征服」

「女バイキングと大海獣」

「原子怪獣と裸女」

といったとんでもないSF映画ばかりでした。

コーマンは、日本の「ゴジラ」や「原子怪獣現る」などのような
怪獣映画がヒットした1950年代には、怪獣映画を量産。

1960年代には怪獣映画からオカルト映画に方向性を転換、
1970年代にはアメリカンニューシネマの成長を見越して自身も
「血まみれギャングママ」
といったアウトローを題材にした映画を製作しました。

そして、「ジュラシックパーク」がヒットした90年代は
ジュラシック・アマゾネス」「恐竜カルノザウルス
といった便乗作を大量生産しました。

この恐竜映画の作品群ですが、
なんと模型の恐竜を使いまわしていたというドケチっぷりをみせていました。

このように、比較的低予算で制作された、
いわゆるSF映画を「B級SF映画」と称するようになっています。

B級映画にはなぜSF映画が多いのか

それでは、なぜB級映画にはSF映画が多いのでしょうか。

これは、現在でこそSF映画はハリウッド映画におけるメジャー級の
商品であるのですが、実は1980年代になるまでは、
SF映画は子供がみるものとしてみなされていました。

したがって、子供やマニアしか見ない映画であるからこそ
低めの予算しかもらえなかったといわれています。

1960年代まではハリウッドの大作映画といえば、
西部劇・時代劇のような大規模なセットを組める作品が主流でありました。

しかし、次第に「アメリカンニューシネマ」の躍進などにより、
1960年代末にはそういった映画の多くが衰退。

その後、1970年代後半から1980年代になると、
「スターウォーズ」のように大ヒットする作品も多く出てきたことから
この風潮は変化、大予算でSF映画が製作されるようになりました。

しかしながら、実はこの大人向けSF映画というのは当たりはずれが大きく、
うまくいけば大ヒットするものの、コケてしまえば巨額の負債
抱えてしまうことが現在でも問題視されます。

その代表例が「プロメテウス」や「65/シックスティ・ファイブ」が
その代表例といえます。

B級SF映画の現在

では、現在B級SF映画はどのようになっているのでしょうか。

実はというと、現在では大手スタジオでもSF映画などを製作することから、
現在ではB級SF映画はやや姿をみせなくなっています。

1970年代後半~1980年代のように、低予算で制作されたSF映画などが
社会現象をうむといったようなことはほぼ姿を消しています。

しかしながら、ホラーに目を向ければ「イット・フォローズ」や

ゲットアウト」などといった低予算で制作されながらも高評価をうみ、

大ヒットを生み出す映画はまだ残っています。

また、SF映画にシフトすれば、現在、B級SF映画の多くを製作しているのは
シャークネード」シリーズに代表されるアサイラムが多く制作しております。

このアサイラムでは、数多くのサメ映画が製作されており、
現在ではB級映画といえばアサイラムといったような風潮があります。

また、それだけではなくアメリカのSF専門TV局「Syfy」によって
数多くのB級SF映画が製作されています。

このように、現在でもB級SF映画の文化はやや衰退傾向にあるものの、
まだ文化としては定借しています。

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まとめ

今回わかった情報をまとめると、以下のようになります。

・B級映画は低予算で作られる抱き合わせの映画を意味していたが、次第に低予算映画の総評として語られるようになった
・B級SF映画の典型的な例は「マッドマックス」「ターミネーター」
・B映画にSF映画が多いのは、かつては子供向け映画としてみなされていた事の名残
・現在、B級SF映画は数は減らしているが、アサイラムなどで制作している会社は多い

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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