打楽器だけでアンサンブル?打楽器アンサンブルの魅力を解説!
皆さんは、全てのパートが打楽器のみで構成される、
打楽器アンサンブルをご存知ですか?
吹奏楽部に入っていない、または入っていなかった方だと、
「打楽器くらいならわかるけど、アンサンブルって何?」と思われる方も、
中にはいらっしゃるかもしれませんね。
今回は、そもそもアンサンブルとはどういう意味なのか、
吹奏楽におけるアンサンブルを軸に解説します!そして、打楽器のみで曲を奏でる、
打楽器アンサンブルの魅力や楽しさをお伝えしていきます!
●アンサンブルってどういう意味?
アンサンブルという言葉は、フランス語で「共に」という意味があります。
服装を選ぶ時に、色や素材を調和させたコーディネートのことも、アンサンブルと言われます。
ただし、今回お話しするのは、音楽の世界におけるアンサンブルについてです。
元々、「共に」という意味を持つ言葉なので、音楽用語としてのアンサンブルは、
「2人以上の奏者が一緒に演奏すること」を指します。
つまり、2人での演奏から、演奏者全員での演奏までの全てが含まれるので、
人数の上限はありません。
また、ここで言う「演奏」には、楽器を使って演奏する「合奏」と、
声だけで演奏する「合唱」の2つが含まれています。
●「吹奏楽」におけるアンサンブル
*全日本アンサンブルコンテスト
冬が近づいてくると、日本吹奏楽連盟と朝日新聞社が主催の
「全日本アンサンブルコンテスト」が始まります。
日本各地で行われる地区大会から、県大会、地方大会、そして全国大会!
この全国大会を目指して、多くの演奏者たちが練習に励みます。
先ほど、音楽用語としては、2人の奏者による演奏も「アンサンブル」であり、
人数の上限はないと解説しましたが、このコンテストでは人数に制限があります。
出場できるのは3〜8人の演奏者からなるグループで、
2人だけや9人以上での出場はできません。
また、日本吹奏楽連盟が主催ということもあり、合唱アンサンブルでの参加もできません。
木管楽器、金管楽器、コントラバス、そして打楽器の演奏者でグループを編成します。
これらは、吹奏楽で使用される楽器です。
*アンサンブルコンテストでのパート編成
先に解説したように、全日本アンサンブルコンテストで使用できる楽器は、
木管楽器、金管楽器、コントラバス、打楽器です。
これらの楽器の演奏者3〜8人でグループを作ります。
このことを「パート編成」と言います。
アンサンブルコンテストにおけるパート編成には、人数や楽器の制限により、規則性があります。
例えば、フルート奏者を3人集めると「フルート3重奏」と言われるパート編成ができます。
フルート以外の楽器でも、楽器や人数を変えて応用させることができます。
パート編成の仕方には、もう1パターンあります。
それは、数種類の楽器を一緒に編成するパターンです。
また例を挙げると、トランペット奏者3人とホルン奏者2人、トロンボーン奏者も2人、
そしてチューバ奏者1人でパートを編成するとします。
この場合、楽器は4種類ありますが、これらの楽器は全て金管楽器に分類されます。
そのため、この8人のパート編成は「金管8重奏」と言われます。
これは木管楽器でも同じです。
ちなみに、金管楽器と木管楽器が一緒にパート編成される楽曲もあります。
この編成で演奏者が8人いる場合、「混合8重奏」と言われます。
●打楽器アンサンブル
*打楽器アンサンブルとは?
ここからは、「打楽器アンサンブル」についてお話ししていきます!
これまで、管楽器によるアンサンブルのパート編成について解説してきました。
では、打楽器でのアンサンブルはどのようにパートを編成するのでしょうか?
答えは簡単です。打楽器奏者が3人集まれば「打楽器3重奏」、
5人集まれば「打楽器5重奏」になります。
中には、木管楽器や金管楽器が一緒に編成されるように、
管楽器と打楽器が一緒にパート編成される場合もあります。
管楽器奏者7人と打楽器奏者1人によるパート編成は、「菅打8重奏」と言われます。
*打楽器アンサンブルの人気曲
打楽器アンサンブルのための楽曲は、クラシックからポップスまで幅広く、
パート編成も様々なパターンがあります。
今回は、先ほど解説した全日本アンサンブルコンテストでの人気曲をご紹介します。
2023年を含む過去5年間で、全国大会まで進出したグループに、
より多く選ばれた打楽器アンサンブルの楽曲は、以下の4曲でした。
(1)『「ザ ウェーブ」マリンバ・コンチェルティーノ 〜ソロマリンバと4人の打楽器奏者のための〜』
作曲:安倍圭子/編曲:和田薫
曲名からもわかる通り、マリンバが主役の打楽器5重奏の曲です。演奏時間は約15分ですが、
全日本アンサンブルコンテストでは、演奏時間は5分以内と定められています。
この場合、楽譜の中から本番で演奏するフレーズを選び、他のフレーズをカットすることで、
演奏時間を短くする必要があります。
この曲は、バスドラムなどが和太鼓のように使われていることで、和の雰囲気を感じることができます。
また、楽器での演奏だけではなく、ハンドクラップが入っている点も楽しい一曲です。
演奏者が5人といっても、一曲で使う楽器が5種類に限られないのは、
打楽器アンサンブルの魅力の1つではないでしょうか。
(2)『ステンド・グラス』 作曲:David Gillingham(デイヴィッド・ギリングハム)
チャイムの荘厳な音色や、グロッケンのキラキラした音が、教会のステンドグラスを彷彿させます。
非日常的な世界観を感じさせるハーモニーだけではなく、
ティンパニなどの迫力や、シロフォンの細かい音の動きによる疾走感もある、
魅力あふれる一曲です。
ギリングハム氏の曲は人気が高く、『打楽器アンサンブルのための協奏曲』
も、多くのグループに演奏されていました。
(3)『ソソバラ 8人の打楽器奏者のための』 作曲:Emmanuel Sejourne(エマニュエル・セジョルネ)
この曲は、先にご紹介した2曲よりも、鍵盤打楽器がメインになっています。
鍵盤の上から息を吹きかける、ヴァイオリンの弓で鍵盤を弾くといった変わった奏法にも注目です。
ただ叩くだけではなく、
様々な奏法で奏でるのは打楽器の楽しさだと思います。
(4)『ヴォルケーノ・タワー』 作曲:Jerry Grasstail(ジェリー・グラステイル)
この曲は打楽器6重奏、または打楽器7重奏で演奏できる曲です。冒頭の静かで美しい、
ファンタジーの世界に入り込んだような場面から一点、トムトムが加わることで、
曲が一気に盛り上がります。
静かな場面と激しい場面の差を大きくつけられるのは、
打楽器ならではの強みと言えます。
●まとめ
いかがでしたか?アンサンブルの意味から、吹奏楽におけるアンサンブルについて、
そして打楽器アンサンブルとはどういったものなのか、解説してきました。
今回はコンクールでの人気曲の一部をご紹介しましたが、他にも打楽器アンサンブルの曲は
数多く演奏されています。
同じ曲でも、演奏するグループによってカットの仕方や表現の仕方も違います。
ぜひご自身でいろんな曲を聴いて、打楽器アンサンブルを楽しんでいただけると嬉しいです!