2000年以降に製作された西部劇の中から選ぶおすすめの3作品を紹介

アカデミー作品賞を受賞した『ダンス・ウィズ・ウルブズ』と同じくアカデミー作品賞を受賞した
『許されざる者』など1990年代に再び西部劇が製作されました。

衰退したジャンルと言われながらも、
1990年代に続いて2000年以降も西部劇が製作されてきました。

迫力満点のガンファイトだけではなく、登場人物の心理描写も魅力となっている作品があります。

西部劇の名作と呼ばれる作品と比較しながら鑑賞していくと、新しい発見があるかもしれません。

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●『3時10分、決断のとき』

2007年のアメリカ映画です。
1999年の映画『17歳のカルテ』でアンジェリーナ・ジョリーにアカデミー助演女優賞、2005年の映画『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』でリース・ウィザースプーンにアカデミー主演女優賞をもたらしたジェームズ・マンゴールドが監督を務めました。

西部にその名を轟かせる無法者ベン・ウェイドを2000年の映画『グラディエーター』で
アカデミー主演男優賞を受賞したラッセル・クロウが演じています。

その無法者ベン・ウェイドを刑務所行きの汽車に護送する牧場主ダン・エバンスを
2010年の映画『ザ・ファイター』でアカデミー助演男優賞を受賞したクリスチャン・ベイルが演じています。

シーンのひとつひとつが1枚の絵を見ているような演出には驚きましたが、映画全体を通してストーリーの展開が遅いことが残念でした。

ラッセル・クロウ演じる無法者はそれらしく見えなかったことも残念です。

クロウは悪役に徹しきれず、人の善さが拭い切れていませんでした。クリスチャン・ベイル演じる牧場主の苦悩は痛いほど感じました。

オスカー俳優の共演ということで期待が大きかったため、実際に鑑賞した時の落胆は大きかったです。
登場人物の心理描写に深みがなく、表面的な描写になっていました。無法者に徹しきれないラッセル・クロウの演技が中途半端で、いらだちさえ感じました。

クリスチャン・ベイル演じる牧場主と無法者ベン・ウェイドの絡みがあればより面白さが増したと思います。

『インサイダー』では家族と組織の間で苦悩するタバコ会社重役、
『シンデレラマン』では怪我で勝利から見放されたボクサーを演じていたラッセル・クロウを見ていたので、牧場主役をクロウが演じた方がよかったと思いました。

無法者ベン・ウェイドをクリスチャン・ベイルが演じていれば、無法者に徹しきる演技ができただろうと思いました。

映画『3時10分、決断のとき』は1957年の映画『決断の3時10分』のリメイクです。
ジェームズ・マンゴールド監督は『決断の3時10分』を何度も鑑賞して西部劇の面白さにのめり込んでいきました。

監督の強い思い入れのある作品であることを知ったうえで
『3時10分、決断のとき』を鑑賞すれば面白さに気づけるだろうと感じました。

●『ジェシー・ジェームズの暗殺』


2007年のアメリカ映画です。緊迫感あふれる心理描写が印象的な西部劇です。
2016年の映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でアカデミー主演男優賞に輝いたケイシー・アフレック
2006年の映画『ディパーテッド』と2013年の映画『それでも夜は明ける』でアカデミー作品賞、
2019年の映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でアカデミー助演男優賞を受賞したブラッド・ピットが出演しています。

アメリカ史の中で最も有名な実在のアウトロー、ジェシー・ジェームズをブラッド・ピットが演じています。
ジェシー・ジェームズに憧れを抱く20歳の若者ロバート・フォードをケイシー・アフレックが演じています。

映画全編を通して緊迫した空気が漂っています。究極の心理サスペンスとはこの映画だと思うほどです。

伝説のアウトローであるジェシー・ジェームズと彼に憧れを抱く若者ロバート・フォードの間に漂う恐怖、不安、疑い、
張り詰めた緊迫感が映画の中から伝わってきました。

ケイシー・アフレックの物静かでありながらも、心の奥底に秘めた怒りや冷淡な感情を表現した演技が見事です。ブラッド・ピットの存在がかすんでしまうくらいの強い印象がありました。

●『荒野の誓い』


2017年のアメリカ映画です。2013年の映画『ファーナス/訣別の朝』と2015年の映画『ブラック・スキャンダル』で知られるスコット・クーパーが監督を務めました。

主演は2010年の映画『ザ・ファイター』でアカデミー助演男優賞を受賞したクリスチャン・ベイルが務めました。
スコット・クーパー監督とは『ファーナス/訣別の朝』以来2度目のタッグです。

1892年、ジョー・ブロッカー大尉は余命わずかのアメリカ先住民シャイアン族の族長イエロー・ホークとその家族の護送任務を命じられます。
道中で、アメリカ先住民コマンチ族に家族の命を奪われた過去を持つロザリーと出会い、彼女もブロッカー大尉と共に旅に加わります。

産業革命によって急速に開拓地や街へと変化していくニューメキシコを背景に、
宿敵をモンタナ州へと護送する任務に就いたジョー・ブロッカー大尉をクリスチャン・ベイルが演じています。

暗い過去を持つ騎兵隊大尉という役柄であるためか、顔には少しだけ影があり、
口数は少ないです。内に秘めた心の葛藤が伝わってきました。

宿敵であったシャイアン族の族長をモンタナ州へ護送する任務の道中で危機的な状況に置かれ、
互いの協力を必要とすることになります。敵同士であった者同士が協力関係になるという展開には驚きました。

護送という任務を通じてベイル演じるブロッカー大尉の心の変化を見ることができるシーンがありました。

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まとめ

衰退してしまったジャンルと言われる西部劇ですが、忘れかけそうになるような頃に新たな西部劇が製作されてきました。
2000年以降に製作されてきた西部劇のおすすめを3本紹介してきました。

特に『ジェシー・ジェームズの暗殺』は派手なシーンは少ないながらも、ブラッド・ピットとケイシー・アフレックによる緊迫感あふれる演技とセリフのやり取りが見事です。
ケイシー・アフレックが時折見せる氷のような視線、心の奥底に秘めているジェシー・ジェームズへの憧れを巧みに表現していました。

『荒野の誓い』はアカデミー助演男優賞を受賞したクリスチャン・ベイルの卓越した演技が見事です。『荒野の誓い』は宿敵であるアメリカ先住民の護送任務を通して心情が変化していく騎兵隊大尉を寡黙に演じていました。
『3時10分、決断のとき』は家族から冷たい目で見られているという牧場主の心情を表情やしぐさで見事に表現していました。お金のために無法者の護送を引き受けながらも、次第に変化していく気持ちが伝わってきました。

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