貴志 祐介『エンタテインメントの作り方』の面白さを章ごとに解説

ミステリー・ホラー・推理など、様々なジャンルの小説を執筆してきた貴志 祐介。

代表作は『黒い家』『悪の教典』『青の炎』などです。

なぜ多くのジャンルで、数多くのヒット作を出せるのか。

これから紹介する『エンタテインメントの作り方 売れる小説はこう書く』に
その答えがあります。

小説家を目指す方にはぜひおすすめしたい一冊ですし、
読み物としても面白いです。

さらに、著作の制作秘話もどんどん明かされます。

章ごとの内容や面白いポイントなどを紹介します。
ぜひ、さいごまでご覧くださいね!

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●【まえがき】貴志 祐介著『エンタテインメントの作り方』

まえがきから面白いです。

冒頭、起承転結の例文として知られる次の歌を引用します。

京都三條糸屋の娘、姉は十六妹は十四
諸国大名は弓矢で殺す、糸屋の娘は目で殺す

貴志 祐介は「面白くない」と否定し、
次のようなアレンジを加えます。

京都三條糸屋の娘、姉は十六妹は十四
諸国大名は弓矢で殺す、糸屋の娘は吹き矢を使う
」(※)

急に糸屋の娘のキャラが立ちました。
元の歌はそこら辺の娘ですが、変更後は隠密か何かのような感じがします。

ここまで読んで「面白い」と感じた方は、本書を楽しめると思います。

本文では6章に分けて、エンタテインメントの作り方を項目ごとに説明しています。章ごとに面白かったポイントを解説します。

(※)貴志 祐介『エンタテインメントの作り方』4ページ

●【第一章 アイデア】貴志 祐介著『エンタテインメントの作り方』

小説のアイデアはどのように生まれるのか。
正しく「エンタテインメントの作り方」の第一歩だと思います。

本章では、次のことが紹介されています。

・アイデアの拾い方と育て方
・アイデアの膨らませ方
・想像力を膨らませる訓練

この中で”想像力を膨らませる訓練”は面白かったです。

「○○が××だったら、という発想」が訓練になるといいます。

具体例として、貴志 祐介は「インフルエンザ・ウイルスが快楽をもたらす」と
仮定し、実際に想像を膨らませて見せています。

「エンタテインメントの作り方」の第一歩をどのようにするのか、
手に取ってみてください。

他にも、貴志 祐介を代表する『硝子のハンマー』や『黒い家』、
デビュー作の『ISOLA』に関する秘話も描かれます。

●【第二章 プロット】貴志 祐介著『エンタテインメントの作り方』

エンタテインメントの作り方の第二章では、
ストーリーの骨組みである「プロット」の作り方を解説されています。

具体的には、次のことが紹介されています。

・プロットの作り方と肉付けの方法
・作品の時代や場所をどう選ぶか
・どんでん返し
・読者にページをめくらせる原動力

特に、『新世界より』の舞台を1000年後の日本にした理由が興味深かったです。
読者にとって馴染みのある建築物を大昔の遺物として登場させたかったそうです。

その他、『青の炎』の舞台設定が湘南である理由など、
ファン必見の情報が載っています!

●【第三章 キャラクター】貴志 祐介著『エンタテインメントの作り方』

登場人物はどう作られているのでしょうか?

三章では次のことが紹介されています。

・命名の際に注意すること
・声質のイメージを固める重要性
・相棒ポジションの注意事項
・時代におもねらないキャラクターを作る重要性

本章で面白いのは、各作品のキャラクターの制作秘話です。
黒い家』や『青い炎』に関するエピソードが明かされています。

防犯探偵榎本シリーズのヒロイン純子は、
貴志 祐介からぞんざいな感謝のされ方をされていて笑えます。

●【第四章 文章作法】貴志 祐介著『エンタテインメントの作り方』
プロットやキャラクターができても

「エンタテインメントの作り方」が分かったとは思えません。

本章では、書き始めた後のついて次のことが紹介されています。

・文章力の磨き方
・一行目が書き出せない理由
・文章の緩急
・かっこいい文章を目指すべきではない

特に「筆を止めさせないコツ」について書かれた箇所に、
「お菓子を食べる」と書いてあって、吹き出しました。

ケースごとに役立つ対処法が書かれているので、
スラスラと書けない人は見ると役立つかもしれません。

●【第五章 文章作法】貴志 祐介著『エンタテインメントの作り方』

書き上げた後の作業はどうすれば良いのでしょうか?

推敲について、次のようなポイントが語られています。

・推敲時のポイント
・原稿を寝かせる重要性
・寝かせる時間がないときの対処法
・文章の贅肉をそぎ落とすこと

また、貴志 祐介のデビュー時の苦労話や『黒い家』の制作時に苦戦したことも
描かれているので、小説家を目指す方の励みになると思います。

●【第六章 技巧】貴志 祐介著『エンタテインメントの作り方』

ラストを飾る本章では、より発展的な内容が書かれています。

具体的には、次のようなコツが紹介されています。

・感情移入の促し方
・作中法の活用方法
・映画や漫画からの学び方

最後の4ページには、新人賞を目指す方向けのアドバイスと
メッセージが載っています。

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●まとめ

以上、貴志 祐介著『エンタテインメントの作り方』を紹介してきました。

小説家を目指す方はもちろん、著書の裏話が豊富なので貴志 祐介ファンに
はたまらない1冊です。

単純に「小説家の頭の中を覗いてみたい」方でも、文章が面白いので読めます。

興味をもったら、実物を手に取ってみてくださいね。

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