村上龍とチバユウスケとリリイについて

訃報
11月26日、日本を代表するロックバンドのボーカリスト、チバユウスケが逝去した。
享年55歳。あまりに早すぎる報せとなった。

チバユウスケの歩み

訃報によって彼の名に初めて触れた方もいるかもしれない。

報じられている通り、ロックバンドのボーカルとして長きにわたって活躍を見せてきた。

在籍したバンドは「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」、「ROSSO」、「The Birthday」がよく知られている。
近年では昨年上映した『THE FIRST SLAM DUNK』にて
「The Birthday」の『LOVE ROCKETS』が劇中で使用されていたので、耳にした方も多いのではないだろうか。

スポンサードリンク




『リリイ』

文頭を目にしてピントきた方は、恐らく、「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」、
「チバユウスケ」ファンとして熱心な方だろう。

だが多くの方は村上龍とチバユウスケ、
リリィについて結びついていないのではないか。

解説の前に表題の『リリイ』とはチバユウスケが
「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」時代に作詞した楽曲である。

村上龍

楽曲は「村上龍」の著作『限りなく透明に近いブルー」にインスパイアを受けて書かれたものだ。

同著は「村上龍」の処女作にして芥川賞受賞作としても有名である。

「村上龍」といえば同著である、
いわば代名詞といっても過言でないほどに鮮烈な内容を含んでいる。

同著に対する論考の多さも作品が持つ影響力の大きさを一つ表している。

ここでその論考についての考察を繰り広げることはしない、
というよりは、それができうるだけの知識の持ち合わせがないのでできないというのが正しい。

同著への論考や解釈について期待している方にはあらかじめここで断っておく。
ここで言いたいのは影響力における力の大きさが一作品の枠を飛び出すほどであるということだ。

インスパイア

影響力という作品が与える力、インスパイアといえばわかりやすいだろうか。
このインスパイアを受けた作品は珍しいものではない。

ハードロックバンド「人間椅子」はそのバンド名からも分かる通り、小説に由来している。

それは、全楽曲名に至るまでの徹底ぶりだ。

最近でも「きのこ帝国」による『春と修羅』は作家「宮沢賢治」著作の詩集のタイトルである。
また、「YOASOBI」による『夜に駆ける』は作家「星野舞夜」著作の小説『タナトスの誘惑』からインスパイアを受けている。

別パターンについても見てみる。作家「吉本ばなな」著作、
『ムーンライトシャドウ』はイギリスのミュージシャン「マイク・オールドフィールド」の同タイトル曲から影響を受けている。

同氏はエクソシストの主題歌の作成者としても有名である。
作家「前川麻子」の著作には『ブルーハーツ』というパンクバンド名をそのまま冠した作品がある。

これらの作品は影響力の程度の違いこそあれ、他の作品を抜きには語れないものとなっている。
いわば共鳴、共感の存在が見て取れる結果を示している。

作品の連なり
文学、音楽にとどまらずあらゆる作品が影響力を持っている。そしてその影響が次の作品、次の作品へと連なり拡がりを見せていく。
故に、創作活動が行われる限り作品は影響力という力を宿し続ける。

それは永続的でもある。

スポンサードリンク




チバユウスケへの追悼

チバユウスケの死は冒頭に記したようにあまりに突然で早すぎるものであり、落胆は大きい。

もう二度と彼による新たな創作や歌唱を耳にすることができないことを思うとやりきれない人もいるだろう。

特に表題だけで感ずるものがある方々の心中は計り知れないものがある。

しかし、今まで述べてきたように作品は力を宿し続ける。
ありきたりではあるが作品は生き続ける。

そしてその存続はただ作品としてあるだけではなく、次の作品を生み出す力となっている。
いわば影響力は原動力にもなり、これからの将来を築いていく。

チバユウスケ氏の足跡を消さないためにも今後の創作活動が途切れることのないよう祈っている。
最期にチバユウスケ氏のご冥福を心より願う。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA