ネガティブ思考を直すスキルを伝授!自己啓発本から卒業せよ
自分のネガティブ思考を直すため自己啓発本を読んだ経験がある人は多いと思います。
しかし読んだだけでその思考が改善されたでしょうか。
様々な自己啓発本があるため一概にはいえませんが、
読んだ直後はなんだかポジティブになったような気がしても、
根本的に思考が変化する事はあまりないのではないでしょうか。
脳が自然に行ってしまう思考は長年の経験から生成されてきたものなので、
簡単には変わりません。
自己啓発本を読むことは素晴らしい事ですが、
ただ単に知識をつけるだけで満足してしまうことが多いでしょう。
ネガティブ思考を改善するには知識だけでなく実践的な訓練が必要です。
本記事では知識だけでなく、認知行動療法に基づいた方法と、
脳のホルモンバランスに注目した方法の2つの観点から思考を改善する訓練方法を紹介します。
Contents
●認知行動療法に基づいてネガティブ思考を改善する。
*認知行動療法とは
これは出来事に対する脳の認知を変更することで思考や感情を操作するものです。
主に精神疾患の治療に用いられる手法ですが一般の方々にも有効です。
*方法の概略
ネガティブ思考を改善する上で一番大切なのは、
出来事とそれを捉えている自分の思考を分けて考える事です。
ネガティブ思考とは出来事に対する脳の自動的な認知のことです。
従ってこれを適切に変更する事が思考の改善であり、ストレス防止にもつながります。
まずはネガティブに考えてしまっている出来事があったら、
それを書き出してみましょう。
「書く」という行為を通じて物事を客観的に捉えることができます。
次にその時の気分や自動的に陥ってしまったネガティブ思考や認知も書き出しましょう。
最後にそのネガティブ思考を客観的に判断し誤っている部分がないか検証しましょう。
*具体的な方法と例
①嫌な出来事やネガティブ思考に陥ってしまった出来事を客観的に書く。
例:今日の夕方頃仕事でのお客様対応中、相手方から支払いが遅いとのクレームを受けた。
関係会社Aからの書類が届いてないためその後の支払いになる旨説明したものの納得されず、
弁護士に相談して訴える等怒鳴られた。
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②出来事に対する自分の感情や捉え方を具体的に書く。
例:申し訳ないという気持ち:30%。無力感:30%。傷ついた、悲しい:20%。
「相手方にかわいそうな事をしてしまった。もっと自分が積極的に関係会社Aに催促するべきだった。
しなかった自分はなんて愚かなのか。無能だ。仕事において相手を怒らせるなんて許されない。
他の職場の先輩方はこのような事はないのではないか?」
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③自分のその自動的な思考に誤りがないか客観的に検証する。
例:「関係会社Aからも書類を送るとの発言があった。他の仕事とのバランス上本件に
注視しなかったのは仕方なかったのではないか。」
「4月に転職してきたばかりで経験も浅いので仕方ない。」
「他の担当者もクレームを言われている場合もある。」など。
*ネガティブ思考によく見られる認知の歪み
②拡大解釈と過小評価。短所は大げさに、長所は過小評価する。
③すべき思考。自分にも他人にも「すべき」というルールを課しプレッシャーをかける
④個人化。すべての出来事を自分の責任と考え自己嫌悪に陥る。
「すべき」「いつも」「きっと」などの決めつけをなくし、
友人にアドバイスするつもりで客観的な立場から自分の思考を訂正しましょう。
ネガティブ思考を誘発する出来事があった場合、
上記のように
認知の把握(どのようにネガティブな思考になっているか)
➡それを論理的に批判➡認知の歪みの訂正という3ステップを実施し
適正な自動思考を身につけていきましょう。
●脳のホルモンに注目した方法。
上記を繰り返す事でネガティブ思考を訂正することができますが、時間がかかります。
以下ではネガティブ思考が体へ与えるストレスの観点から、
ホルモンに注目した即効性の高い方法を紹介します。
*ネガティブ思考による体への影響。
ネガティブ思考によって出来事に対するストレスが上昇してしまいます。
そして過度なストレスを恒常的に受けていると精神疾患につながる恐れもあります。
*ストレス発生の流れ。
出来事が生じてから、それを認知しストレスが発生するまでの流れを
簡単にまとめると以下のようになります。
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② その出来事を、自動思考・認知機能が捉える。(ネガティブに捉える)
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③ 脳内に変化が生じる。
交換神経が興奮し副腎髄質からアドレナリンやノルアドレナリンが放出。
・視床下部から脳下垂体、副腎皮質へとホルモンを通じて刺激が行き渡り、コルチゾールを分泌。
記憶や感情に大きく関わる海馬に影響を与え、細胞が新生しにくくなり海馬が萎縮する。
するとストレスに対して適切な対応ができなくなる。
・視床下部が脳幹にある縫線核のセロトニン神経の働きを抑制し、
セロトニンの分泌量が減る。
・セロトニンなどの神経伝達物質やそれを受け取る受容体の働きに不具合が生じる。
・判断や意欲を司るDLPFC(背外側全頭前野)の働きが落ちて不安や悲しみを生み出す扁桃体が暴走する。
*ネガティブ思考やストレスを改善するホルモン分泌の方法。
①有酸素運動や筋トレをすること
・脳由来神経栄養因子(BDNF)を分泌しストレス反応を軽減させ脳を保護。
・神経ペプチドYという回復因子を増加させ不安感を軽減。
・呼吸や体の動きに集中するマインドフルネス効果があり、
扁桃体の活動を低下させ前頭葉分野の活動を活発にすることで恐怖心やネガティブを軽減する。
②規則正しい生活を送り十分に睡眠を取る。朝は日光を浴びてメラトニンを分泌させる。
③食事はタンパク質、ビタミンB群、ナイアシン(B3)、ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、
5―ALA(5―アミルブリン酸)、ビタミンD、鉄分 の摂取を意識する。
④人や動物とふれあう事でリラックスし幸せホルモン(セロトニン・オキシトシン・ドーパミン)を
分泌させる習慣をつけること。
●まとめ
ネガティブ思考は出来事に対するストレスを増幅させます。
まずは出来事とそれに対するネガティブな思考を客観的に捉えて訂正していきましょう。
この習慣をつける事で徐々に思考の歪みが訂正されます。
また、ネガティブ思考によるストレスを緩和させる為にホルモン分泌に注目し
行動を変えていきましょう。
根本的にネガティブ思考を直しつつそれによるストレスを軽減させることで、
無理なくネガティブ思考から脱却することができます。
自己啓発本を読む事も効果がないわけではありませんが、
思考を変えるには知識だけでなく実践が必要であることは忘れないでください。
今回ご紹介した内容以外にもネガティブ思考を改善する方法はたくさんあります。
「何か自分が日常に取り入れられるものはないか?」
「習慣にできるものはないか?」
といった実践の視点から様々な自己啓発本を参考にする事が有効です。