【名作】ゴールデンスランバーが本屋大賞を受賞していた!!実はこの本、、、
『ゴールデンスランバー』が
「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本の2008年本屋大賞」に
選ばれているので解説したいと思う。
ある男が首相暗殺の濡れ衣を着せられ、巨大な陰謀に巻き込まれていく。
首相就任凱旋パレード中にドローンの爆発により暗殺されてしまう。
周囲は騒然とし、ひょんなことから主人公が首相暗殺したとされて
警察に追われていく。
主人公は全く身に覚えのない話だが、
大きな組織化から暗殺者として仕立てられる。
一般市民がなぜ、巻き込まれていくのか。
暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。
塗り替えられる過去。全てが巧妙な罠。
スリル満点の超弩級エンタテインメント巨編。
なぜ『ゴールデンスランバー』が
「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本の2008年本屋大賞」に選ばれたか
紐解いていく。
Contents
●見どころ①
巻末の謝辞にて
「この本における暗殺事件は、言うまでもなく、ジョン・F・ケネディの暗殺事件を重ね合わせています。第三部で描かれる事件の内容、背景については、参考文献を下敷きに作り上げたもので、首相公選制が存在する、現実の日本とは異なる日本を描いています」
と筆者が書いてある通りケネディ暗殺事件を
オマージュして日本に置き換えた話である。
実際、主人公である青柳雅春(あおやぎまさはる)が
大学時代の友人の森田森吾(もりたしんご)に久しぶりに会ったのをきっかけに、
総理大臣暗殺事件の犯人に仕立て上げられていくのだが、
そのときに森田に「おまえ、オズワルドにされるぞ。たぶん、パレードの最中に
金田貞義首相は暗殺される」という話があり物語はスタートする。
青柳と森田は大学時代、ケネディ暗殺で犯人に仕立て上げられた
オズワルドについて議論したことがあり、森田は思い出の中にあった知識から、
青柳が陥れられようとされている事に気づき、「逃げろ」と言ったのだ。
その後森田は殺される。
第三部「事件から二十年後」の最後には
「青柳雅春が、首相殺害の犯人であると信じている者は、
今や一人もいないだろう」
と書かれている点も実際のケネディ暗殺事件で
犯人とされているオズワルドの単独犯だと信じているアメリカ国民は
ほぼいないと似ている点である。
●見どころ②
「ゴールデンスランバー」という曲はビートルズが最後に制作したアルバム
「アビィ・ロード」のB面メドレーの中の一曲である。
この曲が本屋大賞本の題名となっている。
この小説はそのビートルズ自体もオマージュされている。
まず主人公と森田を含めた友人たちが解散前の亀裂の入った
ビートルズと重ね合わされている。
名曲「ゴールデンスランバー」が作られた時のビートルズは険悪なムードだった。
ポールマッカートニーと青柳雅春は
あの頃に戻りたいという気持ちが一緒なのだ。
他にも青柳を追い詰める警察庁の佐々木一太郎は顔立ちが
ポール・マッカートニーに似ているという設定だ。
完全にビートルズをオマージュしているのだ。
●見どころ③
『ゴールデンスランバー』は「本屋大賞」に選ばれているため
映画化もされている。
映画の主演は半沢直樹でお馴染みの堺雅人である。
他の出演者も豪華で竹内結子、吉岡秀隆、劇団ひとり、濱田岳、
大森南朋等錚々たる顔ぶれである。
小説も良いが映画で主人公を一人称でみる臨場感もぜひ味わってほしい。
個人的には最後のシーンの俳優陣の演技には脱帽した。
全てここで書くことはできないので、
小説を見た後に映画でも堪能することをお勧めする。
まとめ
この物語を読み進めていくと
有り得ない話なはずなのに実際起こり得る可能性が0ではない恐ろしさを
含んでいる。
実際自分が主人公だったら同じ行動を取れるのか、
または同じ協力者が現れるのか、常日頃から信頼できる人間関係を
構築することが重要なことを改めて教えられる。
『ゴールデンスランバー』が
「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本の2008年本屋大賞」に
選ばれた理由は是非自身で読んで感じてほしい。