年末年始、サイゼリヤの営業時間変更に見つけたひとつの計画
サイゼリヤは年末年始になると営業時間が変わる。
店舗によって違うのだけれど、たいてい開店は10時とか11時。
夜の10時ぐらいに閉店するのが通常の営業時間なのである。
あさってに迫った大晦日、いきつけのサイゼリヤは、夜の8時に閉まる。
去年も、おととしも、その前の年の大晦日も、夜の8時に閉店した。
大晦日。きまってサイゼリヤでひとり飯するのが、
オレの恒例行事なのだ。
今年もまたサイゼリヤで一年の最後を過ごすことになっている。
ただ、今年の大晦日は、いつもとはちがった・・・・・・。
●この世の楽園サイゼリヤ
サイゼリヤはファミレスのひとつとされている。
学生、カップル、家族、幅広い年代に利用されているのだから、
ファミレスなのは間違いないのだろう。
サイゼリヤはオレのことを理解してくれている。
仕事が終わったら、ひとりでいたいオレという人間を分かってくれるのは、
サイゼリヤのほかに誰もいない。
たった1000円で3品も注文できるのだ。
ひとり飲み愛好家にとってサイデリヤは、この世の楽園と言ってもいい。
休日前、wifiがsつながる行きつけのサイゼリヤで、
ワイヤレスのイヤホンを使用して動画配信サービスを楽しむ。
イタリア料理をリーズナブルに堪能する、
これ以上の幸せがほかにあるのだろうか?
あの電話さえなければ、今年の大晦日もまた、ひとり飯で
優雅な時間を過ごすはずだったのに。
●食べて楽しめる店を探せ
2ヶ月前、中学時代のクラスメートから実家に連絡があり、
母ちゃんは迷うことなくオレの連絡先を教えてしまった。
後日、クラスメートから連絡があり、みんなで久しぶりに会って、
話すこともたくさんあるだろうから、大晦日にでも集合しないか、
とのことだった。
冗談じゃない、そう思った。
大晦日は、サイゼリヤでひとり飯するのが、
恒例の行事なのである。
後日、同級生から連絡があった。スマホ越しに、恐ろしいことを言う。
集まる店を決めてくれ、というのだ。
食べ物もおいしく、楽しい時間を過ごすことができる店を
探してほしい、とのこと。
そんな都合のいい店あるか! と思った瞬間、あるぞと思った。
「サイゼリヤでいいじゃないか。」
オレにはひとつのたくらみがあったのである。
●奪われたひとり飯の楽しみ
大晦日がやってきた。
夜の6時、サイゼリヤに集合することになっている。
何度も言うように、年末年始、
サイゼリヤの営業時間は通常のものとは大きく変わる。
行きつけのサイゼリヤの大晦日の営業終了は、夜の8時。
2時間ほど我慢すれば、気乗りしない会合から晴れて解放されるということだ。
ラストオーダーが7時半、我慢する時間は実質1時間半と言ってもよい。
恒例の大晦日ひとり飯はなくなってしまったが、
1時間半我慢すればいいのだ。
約束の時間。
男ばかり6人が集まった。
決して仲の良い同級生たちでもなかったが、久しぶりに会うと懐かしいものである。
思い出話は尽きなかった。
あっという間に時計の針は7時半をさす。
サイゼリヤの店員が、ラストオーダーをとりにくる。
我慢の2時間は目前にまで迫っている。
「サイゼリヤで会食するのもいいものだな」
と、ひとりの元クラスメート。
「最初聞いたときは、なぜサイゼリヤって思ったけどな」
と、また別の元クラスメート。
今ごろサイゼリヤの魅力に気づきやがって。
オレは、ずいぶんと前から気づいていたぞ、と思う。
支払いが済み、さあ帰ろうとなったとき、元クラスメートのひとりが、
とんでもないことを言い出した。
「次の店、どうする?」
2時間の我慢が無駄になった瞬間である。
まあ仕方がない。
今年の大晦日だけは、付き合ってあげようじゃないか。
つもる話があるというのなら聞いてやろうじゃないか。
今年だけだぞ、今年だけ。
来年以降の大晦日は、予定が入っている。
そう、サイゼリヤひとり飯。
まあ、仲間に入りたいというなら、考えないでもないけど。