ピアノの「アラベスク」ってどんな曲?どんな意味?
皆さんは、ピアノの「アラベスク」という曲をご存知でしょうか?
「昔弾いた!」
「名前は聞いたことあるけど、どんな曲だっけ?」
「知らないな…」
と、様々いらっしゃるかと思います。
「アラベスク」は、ピアノをする人にとっては誰もが知る名曲です!
どのような曲かを知って、
ぜひ、この名曲の素晴らしさを知って頂けたらと思います。
この記事では、ピアノの「アラベスク」という曲について解説していきます。
Contents
●「アラベスク」とはどんな意味?
そもそも、曲名となっている「アラベスク」とは、どんな意味なのでしょうか?
「アラベスク」とはフランス語で、「アラビア風の」といった意味になります。
アラブ圏とヨーロッパ圏は陸路で繋がっていますから、
長い歴史の中で戦乱や和平を繰り返し、常に密接な関係にありました。
そのような中で、文化・芸術もお互いに行き来し、
アラビア圏の文化・芸術を見聞きした作曲家さん達が、
それぞれ個性を生かして「アラベスク」を作曲したのでしょう。
●「アラベスク」ってどんな曲?
「アラベスク」とはどんな曲なのでしょう?
実は「アラベスク」という曲は、有名な曲が3曲あります。
それぞれ、解説していきます。
*ブルグミュラーの「アラベスク」(1852年)
「ブルグミュラー」という名前、ピアノを習った事がある方は聞き覚えがあるかもしれません。
ピアノの為の「25の練習曲」を作った作曲家さんです。
「アラベスク」は、その中の2番目の曲。
思い起こせば、筆者も小学生の頃に弾きました。
1曲1曲に曲名が付いているので「練習曲」という意識はなく、
先生から教えられる通りに弾いて練習をしていました。
最初と最後は左手の和音「タン・タン・タン・タン…」という4分音符の一定のリズムに合わせて
右手は16分音符のメロディーを弾くのですが、中間部分では左手も16分音符で弾くので、
右手も左手も指を速く動かす練習になります。
左手の16分音符はやはり難しくて、
先生に何度も注意された記憶があります。
*ドビュッシー「2つのアラベスク」(1891年)
「2つの」とある通り、第一番と第二番があります。
曲名からすぐにどんな曲か分からなくても、第一番の方は冒頭のメロディーを聞くと
「あ!どこかで聞いたことがある!」と思われる方も多いかもしれません。
第一番は、印象派のドビュッシーらしい、流れるような大変美しいメロディーの曲です。
一方の第二番は、細かいメロデイーがひたすら続く、第一番とは対照的な曲想の楽曲です。
*シューマンの「アラベスク」(1839年)
「トロイメライ」で有名なドイツ・ロマン派のシューマン。
実はシューマンが「アラベスク」という曲名を名付けた元祖と言われており、
先の2人よりも前の1839年に「アラベスク」を発表しています。
「トロイメライ」の作曲家さんだけあって、シューマンの「アラベスク」も
とてもロマンチックなうっとりするような楽曲です。
●「アラベスク」の難易度
それぞれの作曲さん達のアラベスクを聴いて、美しいな~とうっとりしたり、
勇ましい行進曲のようだな~と思わずリズミカルに手を動かしたくなったりしますが、
それぞれ「弾く」となると、どのくらいの難易度なのでしょうか?
*ブルグミュラーの「アラベスク」
ピアノを習い始めた時期や上達度にもよりますが、わりと小・中学生くらいで習う傾向が多いようです。
レベルは初級レベルとなっていますが、「練習曲」だからこそ、
簡単そうに見えて実は奥が深く弾くのが難しい楽曲。
前述したように、左手の4分音符のリズムに合わせて16分音符の右手のメロディーを弾き、
中盤では左手も16分音符で弾きますので、しっかりしたリズム感と、指を速く動かせるようにしっかり練習をする事が大切な楽曲です。
*ドビュッシーの「アラベスク」
全音ピアノピースのレベルは、Aの初級からFの上級上の中では「C」の中級レベル。
ですが、第一番の冒頭は左手→右手→左手→右手とメロディーを弾き、
その後は、左手で分散和音を弾きつつ右手は三連符を弾くという、複雑な構成をしています。
それが、流れるような美しい楽曲を構成しているのでしょう。
聴く分には「美しいな~」とうっとり聴けますが、
弾くとなるとかなりハイレベル。
流れるような旋律を弾きこなせるよう、
指がびっこをひかず滑らかに弾けるよう練習を積む必要があります。
一方の第二番。左手は全音や2分音符の和音が多いですが、
右手はひたすら三連符が続くという、指が攣りそうなメロデイーです。
なので、こちらも滑らかに運指が出来るよう練習を積む必要があります。
弾きこなせるようになったら、美しい楽曲の世界に酔いしれられるようになるかもしれません。
*シューマンの「アラベスク」
こちらは全音ピアノピースのレベルは「D」(中級上)。
楽譜を見ると、本当にアラベスク模様のように音符が並んでいて、
右手・左手共に、細かい指の動きが求められる楽曲です。
でも、弾きこなせたら、ロマンチックな楽曲の世界に気持ち良く浸れるのではないでしょうか。
●まとめ
いかがでしたでしょうか。
筆者が子供の頃にブルグミュラーのアラベスクを練習していた時は、
曲名の意味も分からず、楽曲の奥深さなど到底分からず、ただただ先生の教え通りに弾く、
という感じでしたが、大人になって改めて楽譜を見たりYouTubeで聴いたりすると、結構難しい曲だったのだな~という事が分かります。
また、ドビュッシーやシューマンの「アラベスク」は、聴くと美しく、
弾きこなせたらこれもまたかっこいいだろうなと思う名曲ですね。
アラビア文化・芸術を見聞きしたヨーロッパ人作曲家さん達の名曲、
ぜひ聴いたり、ピアノが弾ける方は挑戦してみてはいかがでしょうか。