トム クルーズが迫真の演技を見せた映画『7月4日に生まれて』とは?
トム クルーズが主演を務めた『7月4日に生まれて』とは、
社会派監督として知られるオリバー・ストーンが手掛けた1989年のアメリカ映画です。
第62回アカデミー賞で監督賞と編集賞を受賞しています。
アメリカ独立記念日である7月4日に生まれたロン・コビックは
野球に夢中になると同時に愛国心に目覚めます。
高校生になった彼は学校に来た海兵隊員の言葉に感動し、
自ら海兵隊に入隊します。
トム クルーズは実在のベトナム帰還兵ロン・コビック役を演じ、
その迫真の演技でアカデミー主演男優賞にノミネートされました。
●トム クルーズの渾身の役作り
トム クルーズが映画『7月4日に生まれて』で演じていたのは実在のベトナム帰還兵ロン・コビックです。
スポーツエージェント、弁護士、海軍パイロット、ストックカーレーサー、
刑事と幅広い役を演じてきたトム クルーズですが、映画『7月4日に生まれて』では
心と体に深い傷を負ったベトナム帰還兵役で迫真の演技を見せています。
強い愛国心から海兵隊に入隊し、ベトナムで命懸けの戦いに従事しますが、
負傷して下半身不随となる実在の帰還兵を演じていました。
国のために命を懸けた自身に向けられる冷たい視線、自身を苦しめるベトナムでの経験、
思い通りにならない不自由な車椅子生活。
映画の中にはトム クルーズではなく、
心と体に深い傷を負った1人のベトナム帰還兵ロン・コビックいると錯覚してしまいました。
トム クルーズ自身は役作りのために約1年間にわたって車椅子生活を送りました。
誰に何を言われても決して車椅子から降りようとはしなかったそうです。
さらに額の生え際にある髪を抜いて、生え際が後退した状態にしたそうです。
アドバイザーとしてロン・コビックをスタッフとして迎え入れたトム クルーズは
コビック本人のかたわらでも数週間の車椅子生活を送りました。
演技に気持ちが入りすぎたあまり、思わずトムは泣き崩れてしまったそうです。
●社会派オリバー・ストーンが監督を務めた
『JFK』では未だに数多くの謎が残るケネディ大統領暗殺事件に
1人の地方検事が独自の視点で迫る姿を豪華俳優陣の出演でスリリングに描き出しました。
『ワールド・トレード・センター』では同時多発テロ事件で崩壊したワールド・トレード・センターから
奇跡の生還を果たした実在の2人の警察官を感動的に描きました。
『ウォール街』では冷酷で欲深い投資家による企業買収を描き、『スノーデン』では
国家安全保障局NSAによる通信傍受を明かしたCIA元職員の姿を描き出すなど、
社会派として知られるオリバー・ストーンが監督を務めました。
トム クルーズが迫真の演技を見せた『7月4日に生まれて』ではアカデミー監督賞を受賞しています。
1986年の映画『プラトーン』でもアカデミー監督賞を受賞しています。
●原作者ロン・コビック
トム クルーズが主演し、オリバー・ストーンが監督を務めた映画『7月4日に生まれて』は
ベトナム帰還兵ロン・コビックの自伝的小説が原作です。
原作者ロン・コビックは1947年7月4日、アメリカ独立記念日にウィスコンシン州で生まれました。
ニューヨーク州で育ち、高校を卒業した直後にアメリカ海兵隊に登録します。
1965年12月にベトナムへ渡り、従軍することとなりました。
1967年1月にアメリカへ戻りますが、再度ベトナムで海兵隊の作戦に参加しました。
1967年10月に自らの誤射によって味方兵士の命を奪ってしまい、
1968年1月20日に脊髄損傷という重傷を負ったことで除隊し、以後は車椅子生活を余儀なくなれます。
自伝的小説『7月4日に生まれて』がオリバー・ストーン監督、
トム クルーズ主演で映画化された際には、脚本をストーン監督と共に執筆しました。
映画でもロン・コビックの名前がクレジットに登場しています。
ベトナム戦争反対運動に参加し、
その後は湾岸戦争とイラク戦争の反対運動にも参加しています。
まとめ
トム クルーズが迫真の演技を見せた映画『7月4日に生まれて』は
ベトナム戦争に従事した実在のアメリカ海兵隊員が主人公です。
クルーズが見せた演技には胸を打たれ、涙があふれてきました。
愛国心とは何か、国に尽くすこととは何か、国のために戦い、命を投げ出すことの意味とは何か。
社会派監督オリバー・ストーンが手掛けたこの映画は見る者に多くの問いを投げかけてきます。
自由と独立を自らの手で勝ち取ってきた歴史を持つアメリカの負の部分を突きつけられました。
もしも自分がアメリカに生まれ、誕生日が7月4日の独立記念日だとしたら、
映画の中でトム クルーズが演じたロン・コビックのように軍に入隊していたのか。
自ら戦地へ赴くことができるのか、と考えていました。