ダンスウィズウルブズとは? 登場するインディアンの描写も解説
ダンスウィズウルブズはケビン・コスナーが製作、
監督、主演を務めた1990年のアメリカ映画で、アカデミー作品賞を受賞しました。
1863年、命懸けの行動を取ったジョン・ダンバー中尉は図らずも英雄となり、
希望の任地へ赴くことを上官から許されます。
ダンバー中尉は辺境の地サウスダコタ州にあるセジウィック砦への赴任を希望します。
どこまでも続く雄大な大地と荒れ果てたセジウィック砦で自給自足の生活を始めていきます。
愛馬と狼と共に孤独でありながらも、満ち足りた生活を送りはじめます。
やがて赴任地に暮らす先住民スー族と出会い、
彼らの言語や習慣を学んだダンバー中尉は交流を深めていきます。
●字幕付き映画はタブーという考え方を打ち破った
ダンスウィズウルブズは過去のアメリカ映画の常識を打ち破った作品です。
例えばアメリカ人以外の人が登場した時、初めは英語以外の言語、
ドイツ語やロシア語を話していたのに、途中から英語を話し始めます。
映画の前半は英語が話されていますが、
後半はアメリカ先住民スー族の言語であるラコタ語が話されています。
映画ではラコタ語が話されるシーンは全て英語の字幕が付いています。
従来のアメリカ映画ではアメリカ人以外の登場人物にも英語を話させるということが常識でしたが、
ダンスウィズウルブズはあくまで先住民スー族にラコタ語を話させています。
先住民の言語を尊重する監督ケビン・コスナーの強いこだわりが感じられます。
映画の中でケビン・コスナー演じるジョン・ダンバー中尉は
スー族に同化し、彼らの言語であるラコタ語を話しています。
●白人とインディアンとの交流を描いた
ダンスウィズウルブズはケビン・コスナー演じる白人の主人公ジョン・ダンバー中尉と
アメリカ先住民スー族との交流を描いています。
1930年代から1960年代に製作された西部劇では白人が正義であり、
インディアン、つまりアメリカ先住民が悪という描かれ方をしていました。
白人を襲い、土地や金品を奪う恐ろしい存在としてアメリカ先住民は描かれていました。
ダンスウィズウルブズでは白人である主人公ジョン・ダンバー中尉が
アメリカ先住民スー族に自ら習慣を理解して同化し、
彼らの言語であるラコタ語を話していきます。
従来の西部劇とは異なり、白人を襲う存在として描かれるのではなく、
自然と共に生き、独自の言語と習慣をもつ者として描かれています。
自ら心を開いて同化していく白人に対して、
先住民スー族もまた心を開いていく姿が感動的です。
●アカデミー監督賞を受賞したケビン・コスナー
俳優ケビン・コスナーはダンスウィズウルブズでアカデミー監督賞を受賞しました。
アカデミー監督賞を受賞した経歴を持つ俳優はロバート・レッドフォード、
ウォーレン・ベイティ、リチャード・アッテンボロー、クリント・イーストウッド、メル・ギブソンがいます。
ケビン・コスナーはダンスウィズウルブズで
アカデミー監督賞の他に製作も務めたのでアカデミー作品賞も受賞しています。
ケビン・コスナーと同様にアカデミー監督賞だけではなく、
作品賞も受賞している俳優は1982年の映画『ガンジー』を監督したリチャード・アッテンボロー、
1992年の映画『許されざる者』と2004年の映画『ミリオンダラー・ベイビー』を監督した
クリント・イーストウッド、1995年の映画『ブレイブハート』を監督したメル・ギブソンがいます。
ダンスウィズウルブズは白人兵士ジョン・ダンバー中尉とアメリカ先住民であるスー族との
交流を雄大なアメリカの大地を背景にして描いています。
イギリス人音楽家ジョン・バリーが手掛けた音楽が映画の感動をさらに盛り上げます。
白人を襲う存在として描かれてきたインディアンとは異なり、
自然と共に暮らす者としてインディアンが描かれています。
私財の全てを投じて俳優ケビン・コスナーが作り上げたダンスウィズウルブズは感動的な作品です。