ジャギって何者?「北斗の拳至上 最悪の男」を名言で紐解いてみた
俺の名を言ってみろ!!
この言葉、もはや説明するまでもありません。
そう、彼の名はジャギ。北斗の拳に登場するキャラクターの一人です。
ですが、この言葉が独り歩きをし、ジャギがどういう奴なのかを知る者は意外と少ないのです。
「北斗神拳って、三兄弟なんだよね」
時折、そんな言葉を聞くことがあります。
その度に私は思います。
あぁ、この人たちはジャギを知らないんだ、北斗の拳を知らないんだ、と。
忘れられた存在、ジャギ。純粋な悪役としてこれほどの男はいないと私は思います。
●その名はジャギ!
ジャギは北斗の拳第38話「凶悪なるまなざし!の巻」で初登場します。
単行本では第5巻に掲載されています。
ジャギは北斗神拳伝承者候補の一人にして、先代の北斗神拳伝承者リュウケンの養子
(スピンオフ作品『極悪ノ華 北斗の拳ジャギ外伝』の設定より)です。
ちなみに北斗四兄弟ではラオウ・トキに続く三人目の候補者になります。
北斗の拳主人公のケンシロウは末弟にあたります。
修行の末、師父であるリュウケンに伝承者として認められなかったジャギは、
武器を使用してケンシロウに伝承者を辞退するよう詰め寄ります。
しかしケンシロウに返り討ちにされ、命からがらその場を去ってしまいます。
その闘いの最中、ケンシロウから受けた傷が原因でヘルメットを被ります。
その後、ケンシロウと同じ7つの傷を自ら胸につけ、悪行を重ねて世紀末を駆け巡ります。
やがて、北斗神拳伝承者となったケンシロウと再開し、その闘いの中で命を落とします。
そんな彼が残した名言から、人物像を見ていきましょう。
●俺の名を言ってみろ!!
ジャギの代名詞といっても過言ではないこの言葉。
初登場時に発した言葉でもあります。
悪党から女性を助けたシーンでの一言です。
これだけを聞くと「良い奴」ですが、ここから彼の悪行が露わになります。
実はこのシーン、女性を助けたのではなく、自分が女性を連れていくためだったのです。
その理由こそが「俺の名を言ってみろ!!」なのです。
ジャギはケンシロウに対し並々ならぬ憤りを感じており、
村人たちに「胸に七つの傷を持つ男が悪行を働いている」という印象を
植え付けさせるためだったのです。
悪行を重ねていくことでケンシロウをおびきだし、復讐を果たすために…
この言葉は以降も登場し、ジャギの代名詞となりました。
ちなみに「傷よりヘルメットのほうが印象に残るのでは?」という意見は通りません。
世は悪党はびこる世紀末。相手の顔なんてあってないようなもんです。
●兄よりすぐれた弟なぞ存在しねえ!!
こちらは「幼き犠牲!!の巻」より抜粋。
とある村で悪行を働いていたジャギ。足が不自由な兄を、
ジャギの子分から守る幼き弟に発せられた一言です。
北斗神拳の修行時代、ケンシロウとの秘孔の打ち合いで
精密度をリュウケンに指摘されてしまいます。
それでも自分が劣っていることを認めないジャギは、
その場を去ってしまいます。
その後、劣っていると思っていた弟ケンシロウが、
北斗神拳伝承者に選ばれます。
認めることができないジャギは、
兄であるラオウ・トキに同意を求めるも答えは返ってこず…
ケンシロウに伝承者を辞退するよう詰め寄るも力の差を見せつけられ、
顔に深手を負ってしまいます。
命からがらその場を立ち去り、
顔への痛みを抱きながらヘルメットの下でケンシロウへの復讐を誓います。
この言葉は、ジャギが思う理想の兄弟像を表したものだったのかもしれません。
●これがきさまの地獄行きの旅の始まりだあ~~~~~~!!
最後はこちらの言葉。
「怒拳四連弾!!の巻」より発せられた一言です。
ケンシロウと再会したジャギ。
闘いの末、ケンシロウに秘孔を突かれてしまい、その生涯を終えてしまいます。
そんな中、ケンシロウに一矢報いるように放った言葉です。
皆さんご存じの通り、北斗神拳は一子相伝。
伝承者候補であったラオウ・トキはすでにこの世にいない…
そう思っていたケンシロウに放った言葉。
これはどんな拳より重い一撃となったでしょう。
北斗神拳を巡った闘いは終わったと思うケンシロウに対し、
自身の肉体の消失は始まりでしかないと訴えているのです。
ジャギ自身もまた、ラオウ・トキの弟です。
どこかで二人に劣っていると感じていたのではないでしょうか…
まとめ
いかがだったでしょうか。
ジャギというキャラクター、実は北斗の拳という作品の中で登場回数が少ないんです。
その登場話数、たったの7回。
巻数でいうと5巻のみです。
それでも印象に残る読者はたくさんいる…それはなぜなのか?
やはり、他人や自分を傷つけてでもケンシロウに復讐するという心を貫いたからではないでしょうか。
その思いが叶うことはありませんでしたが、
「これぞ悪」という一面を魅せくれたキャラクターであることに違いはありません。
自分の意思を貫き続けた結果、ジャギの肉体は散ってしまいましたが、
最後に「ラオウ・トキが待っている」という大きな拳をケンシロウに浴びせることが叶いました。
彼の最大の武器は銃でも復讐心でも拳でもなく、言葉だったのかもしれません。