われら闇より天を見るが本屋大賞を受賞したので解説してみた!
『われら闇より天を見る』が
「全国書店員が選んだいちばん! 売りたい本 2023年本屋⼤賞翻訳小説部門」第1位を
受賞したので解説したいと思う。
海外の話になり頭に入りづらさはあるので、メインである登場人物が大切である。
主要人物を3人を紹介する。
まずは「ダッチェス」という少女が非常に重要な主人公である。
弟が幼く、母は酒に溺れ、少女本人も「あたしたちは無法者なの」と自称し懸命に生きている。
次に「警察署長ウォーク」である。ダッチェスの叔母にあたる女性が
死亡した事件で彼の親友ヴィンセントが逮捕される証言をして、過去に囚われたまま生きている。
そして、事件から三十年後ヴィンセントが町に帰って来る。
この男も非常に重要である。主人公3人が一つの事件を通して人生に巻き込まれていく話である。
なぜ「われら闇より天を見る」が「本屋大賞」を受賞したか紐解いていく。
●見どころ①
ダッチェス抜きではこの物語は語れない。
父親はおらず、母親は酒に溺れ、幼い弟の世話をしなければいけない。
そんな不遇な環境の中、親に甘えることができず、自称無法者として生きている。
更にある殺人事件に巻き込まれたり、祖父と仲良くなったと思ったら非業の死をとげる。
里親と折り合いがつかなかったり、とにかく悪い環境で育っているのに何一つ好転しない。
ずっとキツイ環境にいるので更に荒んでいく。
その環境の中彼女はどう生き抜いていくか是非みてほしい。
●見どころ②
ヴィンセントはこの本でとても重要な人物である。
始まりは30年前から始まる。ある町で一人の少女が交通事故で亡くなり、
運転手の高校生のヴィンセントであり逮捕されてしまう。
交通事故で亡くなる少女こそダッチェスの叔母である。そのこともありダッチェスの母は荒れる。
ダッチェスの母にとっての妹に当たる人物が交通事故で亡くなったのだ。
そしてヴィンセントは刑期を終えて、この町に戻ってきたが再逮捕されるのである。
なぜか?
なんとダッチェスの母が殺された現場にいたのだ。
その後釈放されるが、自殺してしまう。
この理由に関しては是非、われら闇より天を見るを見てほしい。
本屋大賞を受賞した理由がそこにある。
●見どころ③
見どころ①と②で登場したダッチェスとヴィンセントに関わる様々な人達が物語の重厚さに繋がっていく。
ケープヘイブンという町、交通事故で亡くなったシシーという少女、
シシーの姉でありダッチェスの母親であるスター、土地ころがしのダーク、ダッチェスの祖父ハル、
弟のロビン、ヴィンセントの友人であり警官であるウォーク、ウォークの元カノで弁護士のマーサ。
この登場人物たちが物語の濃淡に拍車をかけている。
全てを細かくここで書くと楽しみが減ってしまうのでかけないが是非、
「われら闇より天を見る」を見てその臨場感を味わってほしい。
そして本屋大賞に相当するか確認してほしい。
まとめ
最初ミステリー小説という紹介でこの本を手にとってみたが、
内容を読み進んでみるとミステリー小説というより人間関係や悲劇が次から
次に主人公に襲ってくるあたりはノンフィクションに近いものを感じた。
実際そういった不遇な環境で生き抜いている人も珍しくはない。
大きな事件、社会を揺るがす大きな事件が起こるとき得てして
家庭環境が大きくなることが多い。実際日本で起こった凶悪な事件の取材本を見ればわかる。
そしてこの主人公の少女が最終的に好転するか、そのまま堕落するかは誰にもわからない。
その少女の今後の人生を想像してみるのはフィクション小説の良いところである。
『われら闇より天を見る』が「全国書店員が選んだ いちばん! 売りたい本 2023年本屋⼤賞翻訳小説部門」第1位を受賞したかどうか自身で評価してほしいと思う。