『ルーズベルトゲーム』池井戸潤が贈る、仕事を頑張る全ての人へ
「一番おもしろい野球のスコアは8対7だ」
かつてアメリカの大統領だったフランクリン・ルーズベルトは、こう言ったそうです。
「野球はあまりよく知らないから…」
そう思ったそこのあなた!野球のことは知らなくても、
あなたが仕事をしている大人であるなら、スルーするのは時期尚早です!
ルーズベルトの言葉がもとになった作品が『ルーズベルトゲーム』です。
池井戸潤によって書かれた作品で、銀行員としての職務経験が生かされた、
現実的な事実の中でも努力や希望を忘れない、
働く人ならだれもが共感できるような内容になっています。
日々の仕事に悩めるあなたの力になれる内容となっていますので、
どうか最後までお付き合いください。
●ルーズベルトゲームの由来
上記のルーズベルトの言葉がきっかけとなり、こう呼ばれるようになったのだとか。
野球の試合が8対7で決着がつくことを意味しますが、
この8対7というスコアが示すのは奇跡の逆転劇。
7点差だった試合中、負けていたチームが一気に追い上げを見せ、
逆転勝利する状況を指します。
●『ルーズベルトゲーム』池井戸潤作
中堅精密機器会社と、会社が所有する名門社会人野球部存続をかけた奇跡の逆転ストーリーです。
まさにルーズベルトが興味を抱いた野球の8対7のスコアのような内容になっています。
●『ルーズベルトゲーム』で池井戸潤が伝えたかったこと
働くということは、学生時代に抱いていた夢や目標といった
キラキラしていそうなものとはかけ離れた、現実と向き合うことでもあります。
「やりたい」という思いだけでは回らない、
社会人としての責任という名の輪にはめ込まれ、
思っていたこととは全く違うことをしなければいけないこともあります。
出産を期に退職しましたが、私も介護福祉士としての責任の輪にはめ込まれたうちの一人でした。
そう言ってしまうとなんだか仕事を否定しているように思われる方もいるかもしれませんが、
否定はしていません。
むしろやりがいのある、世の中になくてはならない重要な仕事をしていたと、胸を張れます。
しかし一度社会に出れば、何かの職業に就けば、
世間は当然その「プロ」として見てきます。
そうすると、自分たちの思いと、会社や世間の思いが共通しているとは限らないという現実に
ぶち当たることがあります。
『ルーズベルトゲーム』でもそうです。
「会社の不況で社員に影響が出ているのに、負傷続きの野球部にかける金銭的、
時間的余裕はあるのだろうか?」という現実が存在しているのです。
しかし、ここから大逆転するのがルーズベルトゲーム。
池井戸潤の書き方です。逆境の中でも決して諦めない、
働く姿勢、野球試合中の戦う姿勢。その様子は日々仕事に真剣に向き合い、
悩んでいる社会人たちの共感を得たことでしょう。
仕事をしている誰もが抱える現実。でもそこで終わるのではなく、
努力や希望を積み上げた先に見えてくる現実も確かにある。
『ルーズベルトゲーム』と通して、池井戸潤は伝えたかったのではないでしょうか。
●まとめ
いかがでしたか?一人の言葉をきっかけに、生まれる物語があり、多くの人の力になる。
とても素敵なことのように感じませんか?
私たちは日々、夢や目標とはかけ離れた、多くの現実とともに生きています。
大げさに聞こえるかもしれませんが、事実であり、その中の一つが仕事です。
生活に欠かせない仕事。しかし仕事の全てがあまりよくない方の現実だったら、
とてもやっていられないですよね。
『ルーズベルトゲーム』はそんな時に是非手に取って頂きたい作品です。
読み終わって一息ついたら、少しでもあなた流のルーズベルトゲームで
仕事に打ち込めるのではないでしょうか。