『リバース』、一風変わった恋愛小説。石田 衣良の傑作
石田 衣良先生の小説『リバース』は、とにかくじれったい。
もしも、すごく話が合い、心を開ける異性(パートナー)がいたらどうですか?
きっと深い関係になりたいと思うはずです。
ただ、大きな嘘をついている場合は、話が別です。
「今の関係を壊したくない」と思うのではないでしょうか?
小説『リバース』は、男女がネット上でメールのやり取りで
仲良くなったところから始まります。
しかし、2人は大きな嘘をついて引っ込みがつかなくなっています。
石田 衣良先生が贈る、
気しか合ってない男女の恋愛小説の始まりです。
あらすじや登場人物、そして魅力を紹介します。
Contents
●石田 衣良『リバース』、あらすじを紹介
丹野千晶は、キャリアウーマン。性別を男と偽り、
アキヒトという名前でSNSに登録している。
大久保秀紀は、Webデザイナー。性別を女と偽り、
キリコという名前でSNSに登録している。
男のアキヒトと女のキリコは、毎日のようにメールのやり取りをしている。
2人は、人間的に強く惹かれつつも、
性別を偽っているので、もう一歩先に踏み込めずにいる。
やがて、同性と分かりつつも、
2人は互いを強く求めるようになります。
不思議な恋の行方はどうなるのか?
以上が、石田 衣良先生の小説『リバース』のあらすじです。
●石田 衣良『リバース』、小説を彩る登場人物を紹介
石田 衣良先生の小説『リバース』の登場人物を紹介します。
*主人公
丹野千晶
女性。ハンドル名はアキヒトでネナベ。
キリコとの文通が欠かせない。
ファッション関係の輸入商社に勤めるキャリアウーマンで、
ブランドのマネジメント業務をしている。男勝りでサバサバした性格。
大久保秀紀
男性。ハンドル名はキリコでネカマ。アキヒトとの文通が欠かせない。
システム会社に勤めるWebデザイナーで、仕事はできる方。
素朴な雰囲気で優しい性格をしているが、優柔不断なところもある。
*主人公の理解者
森尾真貴子
女性。千晶を慕う会社の後輩。仕事に懸命で純粋な性格。
可愛らしい雰囲気。仕事もプライベートでも千晶をサポートする。
小泉慶太
男性。秀紀の会社でホームページの企画担当をしている。
爽やかな外見のイケメン。仕事はそこまでだが、恋愛には強い。
秀紀をサポートする。
*主人公の恋人候補?
福田靖弘
男性。千晶の元彼。華やかでおしゃれな性格かつ気の利くところもあるが、
女遊びが派手。仕事の付き合いから、
千晶によりを戻そうとアプローチをかける。
秋山比呂
女性。秀紀の会社で勤務。お嬢様タイプで髪は緩い縦ロールのパーマ。
秀紀に好意を持ち、積極的に言い寄る。
アキヒトに惹かれる秀紀を大きく揺さぶる。
●石田 衣良の小説『リバース』の魅力①「性格以外を知らない恋愛」
普通、外見や性別を知ってから、中身を知ります。
石田 衣良の小説『リバース』は、逆です。
中身だけ知って、他は何も知りません。
マッチングアプリでさえ、後ろ姿くらいは分かります。
声や顔、シルエットさえ分かりません。
性別に至っては、お互いに嘘をついています。
単純に面白いです。
私たち読者は、主人公2人が心から通じ合っているのを知っています。
だからこそ、やり取りをじれったい気持ちで見ていられます。
正しく小説でしか味わえない恋愛と言えるのではないでしょうか。
『リバース』の発売年は2007年です。
当時は、SNSもマッチングアプリも普及していませんでした。
石田 衣良先生の先見性には驚くばかりです。
2007年に生きていた方は、当時を思い出しながら読むと、楽しめると思います。
●石田 衣良の小説『リバース』の魅力②「デート描写が無くても面白い」
恋愛小説の山場と言えば、デートだと思います。
水族館や山など、ロケーションで盛り上げることもできます。
手をつなぐ、キスをするなど、定番のイベントも目白押しです。
ネタばれになってしまいますが、最後までデートらしいデートはありません。
恋愛小説のデートシーンは、
緊張感を保ちページを進める原動力になると思います。
さらに、好きな相手の人格を掘り進めるのにも役立ちます。
『リバース』は、緊張感があり、キャラクターの人格に惹き込まれる小説です。
他作品にはない特徴です。
●まとめ
石田 衣良の小説『リバース』について紹介しました。
一風変わった恋愛小説を読みたい方におすすめです。
ぜひ、手に取ってみてください。